南三陸森林組合は、旧志津川町と旧歌津町にあった森林組合が町村合併に先駆け昭和63年5月1日に統合し、現在1367名の組合員で構成されている。町の基幹産業は漁業が中心だが、森林面積も1万2577haあり、町の総面積の77%を占めている。そのうちの町有林を含む民有林1万842haからの委託施業と請負施業(地拵え、植林、下刈り、除伐、枝打ち、間伐、主伐、造材・搬出)を主な業務としている。
私が南三陸森林組合に入ったのは平成4年のころです。当時、木材は最低価格で取引され、仕事も少なく、組合は赤字続きで厳しい状況でした。そんな中でも、私たちは山へ赴き、いい木を育てていくという使命感と責任感から、林業を続けてきました。年月を重ねるごとに森林整備の仕事が増え、震災後は瓦礫の撤去や三陸自動車道開通のための森林整備等、復旧・復興にも携わりました。同時に持続可能な林業を目指そうと、南三陸森林管理協議会を立ち上げ、町の森林のおよそ2割がFSC認証を取得。町内材の価値が認められ、建材や商品として幅広く活用されるようになりました。私が組合に入った頃と今を比べると、林業は環境に密接に関係する重要な仕事なのだと、世間の認知や理解が深まってきたように思います。
50年ほど前に私が植えた木がもうすぐ伐期を迎えます。林業は木を植えて、長い時間をかけて良い木を育てることが仕事です。だからこそ、今、私たちが植えた木を管理していく、次世代を担う人材が必要です。昔より、林業の労働環境や安全管理が見直され、未経験の人も働きやすい環境が整っています。山を歩き、山を知り、愛情をもって木を育てられる人材と、ともに働けることを楽しみにしています。